同じ単語は極力避ける。語彙力を増やそう!

テクニック(右腕)

今回は、「語彙力」に関するお話です。

ライティングにおいて、語彙力はとても大切になります。しかし、これは「難しい言葉を覚える」という意味ではありません。大切なのは、「平易な言い回し」をしっかりと覚えておくことです。

語彙力と聞くと、一般的にはあまり利用されないような熟語や慣用句、ことわざなどを習得することだと考える人がいます。もちろん、そうした言葉を知っておくことは決して無駄ではありません。しかし、ライティングにおいては、むしろ簡単な言葉を使えるようになることが重要です。

簡単な言葉とは、「中学生にもわかる」くらいを想定するとよいでしょう。つまり、義務教育をきちんと終えていれば、内容が理解できるような言葉を身につけておくのです。

「そんなのはあたり前だ」と思う人もいるかもしれませんが、身につけるというのは、単に意味を理解することではない点に注意が必要です。ここで話しているのは、ライティングスキルについてですから、「文章を書く際に利用できるようにする」のが大切です。

例文A

世界では、環境破壊が深刻な問題だと考えられています。そのため、多くの人々が対策を進めるべきだと思っているでしょう。しかし、個人の力だけではなかなか問題は解決しないと考える人も少なくありません。だからこそ、たくさんの人が力を合わせて、環境破壊を止めることが重要だと思います。

文章を書くとき、特に何度も使ってしまう単語に「思う」「考える」があります。「思う」「考える」と言うのは、人にとって自然な行為のため、どうしても使う場面が増えるのです。例文Aでは、「思う」「考える」をあわせて4回使っていますが、何度も同じ言葉を繰り返すと文章が拙く見えます。

そこで、「思う」「考える」と同じような意味を持つ、別の言葉で置き換えてみましょう。

例文B

世界では、環境破壊が深刻な問題だと言われています。そのため、多くの人々が対策を進めるべきだと危機感を抱いているのでしょう。しかし、個人の力だけではなかなか問題は解決しないと失望している人も少なくありません。だからこそ、たくさんの人が力を合わせて、環境破壊を止めることが重要だと信じています。

例文Bでは、「思う」「考える」を使わないように言葉の置き換えを行いました。まず、「深刻な問題だと考えられています」を「深刻な問題だと言われています」に変更しました。単語としては「考えられている」と「言われている」では、意味が異なります。しかし、文脈から「広く共有されている問題」についての話であるため、「考えられている」を「言われている」に置き換えても文としての意味は大きく変わりません。

ほかの変更点である「危機感を抱いている」「失望している」「信じている」も、文脈として齟齬のないように置き換えました。

これらの変更点で共通しているのは、「思う」「考える」に対して、より具体的な言い回しを使っている点です。「思う」「考える」というのは、言葉として非常にあいまいです。幅広い場面で利用できる汎用性がある反面、そのせいで多用しがちでもあります。

そのため、「思う」「考える」という言葉を使う前に、「どう思っているのか」「何を考えているのか」を具体化することが大切です。そうすることで、「思う」「考える」ばかりを使わず、ほかの言い回しを使ってライティングを進められるようになります。

たとえば、「思う」なら「期待する」「不安に感じる」「信じる」「願う」といった単語と置き換えられるケースがあります。「考える」なら、「計算する」「計画する」「提案する」「警戒される」「注意する」といった単語に変えられる場合があるのです。

多用しやすい単語としては、「行動する」「注意する」「意識する」「使う」といった言葉があります。それぞれ、利用する場面に応じて「より具体的な言い回し」があるはずです。難しい言葉を覚えなくても、状況にあった「言い回し」を覚えておくことこそ、ライティングにおける語彙力につながるでしょう。

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