今回は、「コラムとブログの違い」に関するお話です。
ネット上の文章として、非常に広く利用されている形式が「ブログ」と「コラム」です。ブログとコラムには、明確な違いがあるものの、一見するとあまり差異がないようにも感じます。
ブログとコラムの共通点と相違点を理解することで、それぞれのコンテンツで書くべきことを理解できるようになるでしょう。
↓解説動画はこちらから↓
コラムとブログの共通点
2つの共通点は、「自分の体験や知識について書く」ところです。旅行に関する経験を活かして旅行コラムを書いたり、DIYが得意な人が日々の制作についてブログを記事にしたりするのがほとんどです。
自分の体験や知識を活用した記事は、クオリティの高いものになることが多いため、まずは自分の得意な分野から書き始めることになるでしょう。これがブログとコラムの大きな共通点になります。
もう1つの共通点としては、「ネットを意識する」という点です。ネット上で公開されるコラムやブログは、紙面における文章構成とは異なるルールが適用されます。わかりやすいところでは、「改行」に関するルールです。
一般的な雑誌記事では、頻繁な改行は行いません。次の段落に移行する場面など、重要な意味を持つところだけ改行します。ところが、ネット上の記事では、頻繁に改行をしなければなりません。その改行も「一行空け改行」がほとんどです。
これはスマートフォンでの閲覧を想定しているからであり、縦に長い画面でも読みやすさを維持する工夫になります。同じ媒体を利用するコラムやブログでは、こうしたルールについては共通であることが多いです。
コラムとブログの相違点
コラムとブログの大きな違いは「視点が異なる」という点にあります。簡単に表現するなら「主語」の違いだと言えます。ブログの視点は「主観」であり、主語は常に「私」です。
「私は○○をした」「私が○○に旅行した時に」といった表現が必要です。「私」が見たことや感じたことを主題にして書かれ、それ以外の点についてはできる限り言及しません。
コラムでは、視点が「客観的」であり、主語は「私以外」です。決して「私」を使ってはいけません。しかし、内容そのものは筆者である「私」の体験や知識に関するものです。
そのため、意識しておかないと「私」を主語にしてしまうというミスが起こりやすいです。これは直接「私」という主語を書くかどうかという問題ではありません。「私」のような一人称の主語を使っていなくても、文の主語が「私」になってしまう文もあるからです。
例文
a.この商品がおすすめです。
b.これが最適だと思います。
例文のaとbは、「おすすめです」「思います」という述語が「私」を前提にしたものです。これらの述語は使用された時点で、文全体が一人称になってしまうため、コラムでの使用は避けるべきです。
コラムは「情報」で語り、ブログは「体験」で語る
視点の差が生まれる最大の要因は、「経験や知識をどのように語るのか」にあるでしょう。ブログの場合、自分の経験を「体験」として書いていきます。「体験として書く」とは、実際に自分が見たものや行動したことを具体的に記すということです。
目に映った情景や実際の行動について詳細に書いていくほど、ブログとしてのクオリティが上がります。つまり、ブログとは「具体性が高い文章」だと言えます。
コラムはその逆です。自分の経験や知識について、「情報」として整理しなければなりません。自身の体験や知識のなかから、重要な部分だけを取り出したり何らかの共通項を見つけたりして「価値ある情報」にすることが求められます。
そのため、できる限りたくさんの経験から、大事な部分だけを取り出した記事ほど質が高くなる可能性があります。「自分の経験をそのまま書く」のがブログであり、「体験や知識を整理して書く」のがコラムだとも言えます。
この違いはとても重要であり、ここを意識しないと質の良い記事を書くのが難しくなります。
コラムのクオリティは情報量に支えられる
「FX歴30年のベテラントレーダーのコラム」と「FXを初めて1年目の初心者によるコラム」では、誰もがベテラントレーダーのコラムを読むでしょう。たとえ書かれている内容が同じでも、初心者のコラムを読もうとする人は圧倒的に少ないです。
なぜなら、記事の前提となる経験の量が違うからです。30年分の経験のなかから重要な情報を整理して書かれた記事と、ほとんど経験のない初心者が書いた記事では、捨てられている情報の量が違います。コラムのクオリティは、「捨てられた情報の量」に支えられているわけです。
例えるなら、「100人に1人の逸材」よりも「100万人に1人の逸材」のほうが優れていると感じるのと同じです。たとえ実際には両者に違いがなかったとしても、「100万人に1人の逸材」のほうが評価されます。
コラムも同様に、「記事になった内容」よりも「記事にならなかった内容」の量が信頼性を支えるのです。これは外形的な評価だけではなく、実際に書かれる文章の質の向上にもつながります。
だからこそ、コラムを書く場合は得意分野や興味がある分野を選ぶべきです。また、コラムを書くにあたりリサーチもしっかりとしなければならない理由もここにあります。
ブログは「私」の感覚がすべて
その分野の初心者が書くコラムというのは、基本的にほとんど読まれることはありません。信頼性が低いからです。しかし、それが「ブログ」の場合は話が違います。ブログなら、たとえ初心者が書いたものでも高い人気を集めることも可能です。
なぜなら、ブログは「体験」「体感」を伝えるものでからです。「その人だからこそ感じたもの」を書くのがブログですから、情報の信頼性は関係ありません。そのため、「FX歴30年のベテラントレーダーのブログ」と「FX初めて1年目の初心者によるブログ」は、どちらが人気になるのかわからないのです。
ブログで重要なのは、「何をしたのか」「何を感じたのか」をハッキリと、詳細に書いていくことです。読者が具体的な情景を思い浮かべることができる文章こそ、質の高いブログだと言えます。
普段なら見逃してしまうような些細なことにも意識を向けてこそ、良いブログが書けるようになるわけです。
書き分けが大切
コラムとブログは混同されることが多いですが、実際にはまったくの別物です。大事な部分を抽出するのが重要な「コラム」と、細かい部分にこだわるのが大切な「ブログ」では、書き方が大きく異なります。
きちんと違いを理解して、書き分けができるようになってこそ、ライターとしての実力も向上するはずです。「ブログのようなコラム」「コラムのようなブログ」を書かないようにするためにも、基本的な違いについて意識しながら執筆してみましょう。
Related posts:
Webライター・方山敏彦の右腕。左腕も勿論ありますw
コメント