「意味不明な文」よりも「支離滅裂な文章」に気をつけよう!

テクニック(右腕)

【ゆっくりライティング】第2回 読み手の知識に依存していませんか?「意味不明な文」よりも「支離滅裂な文章」に気をつけよう

文章の組み立て方

どうも方山敏彦の右腕こと、右腕でございます。今回は、「文章の組み立て方」に関するお話です。

日本人として生活していると、意味の通る日本語を操ることはほぼ必須の能力です。仕事にしても買い物にしても、友人との会話にしても、きちんと意味がわかる文で話をしているでしょう。「仲間うちだから」とか「仕事仲間だから」といった信頼から、多少の省略や崩しはあっても、「何を言っているのか意味がわからない」と本気で返されたりはしないでしょう。

だからこそ、「文章を書くことくらいはできる」と自信を持っている人もいるかもしれません。しかし、実際にはまともな文章が書ける人は多くないのです。

ここで、1つの例文をお見せします。以下の3つの文からなる文章を読んで、意味がわかるかどうかを考えてみてください。

1:地球温暖化の問題は、国際的な課題となっている。

2:そのため、排気ガス規制を進めることが重要なのは間違いない。

3:だからこそ、先進国が担うべき責任は重大だ。

いかかでしょうか。この例文を読んで、「問題ない」と感じた人もいるかもしれません。日常の会話であったなら、それほど問題になることもないでしょう。

しかし、上記のような文章は、ライティングとしては「失格」です。その理由は、「文の意味がわからない」からではありません。1~3までの文は、それぞれの文自体は意味が通っています。ところが、この3つの文を一続きの文章として考えた場合は大きな問題があるのです。

なぜなら、1と2、2と3の文には何の繋がりもないからです。1の文では、主語が「地球温暖化の問題」ですが、2では「排出ガス規制を進めること」が主語になります。この2つには何の繋がりもありません。少なくとも、1と2の文を見る限りにおいては、繋がりが提示されておらず、理論が飛躍しています。

同様に、2から3の文への展開も脈絡がありません。もし上記の例文をきちんとライティングするなら、以下のようになるでしょう。

1:地球温暖化の問題は、国際的な課題となっている。

→温暖化の原因となっているのは、工場などから排出される「排気ガス」だ。

2:そのため、排気ガス規制を進めることが重要なのは間違いない。

→これまで、排気ガスを大量に生み出してきたのは先進国だった。 3・だからこそ、先進国が担うべき責任は重大だ。

Aの文によって、1と2の主語――温暖化と排気ガスを繋ぐようにしました。そして、Bの文で排気ガスと先進国を繋ぎ、2と3の文の意味を通るようにしたのです。

おそらく、最初の3文だけで問題ないと感じた人は、AとBのような内容を知識としてもっていたのでしょう。そのため、温暖化と排気ガス、排気ガスと先進国というワードが頭のなかで繋がったのです。結果として、文と文の間にある空白を勝手に埋めて、文章を補完して読んでしまったのではないでしょうか。

「このくらいの知識は誰でも持っている」と思うかもしれません。たしかに、地球温暖化の話であれば、中学生でも知っているでしょう。

しかし、これが金融や経済の話ならどうですか? あるいは、結婚や子育ての話題なら? スポーツや鉄道などの趣味の話は? 「読者には前提知識がある」と言い切れるでしょうか。

たしかに、読者層を絞った雑誌などなら、ある程度読者の知識を頼ってもかまわないかもしれません。しかし、幅広い読者を想定した場所では、そういうわけにはいかないでしょう。特に、ウェブライティングにおいて、読者の知識に頼る文章はまったく好まれません。

これは、「専門的な内容が好まれない」という意味ではない点に注意です。「専門的な知識は求められるが、前提知識を求めない文章」を書くことが大切になります。それこそ、「中学生が読んでもわかる文章」を心がけなければならないのです。

そのためには、「その文章だけできちんと意味が通る」ことを意識しましょう。先ほどの例文のように、文と文の間に「空白」が生まれることのないように注意しなければなりません。1つの文章だけで、「完成」させてこそ、ライティングはお仕事になるものだからです。

というわけで、今回は「意味不明な文」はなくても、「支離滅裂な文章」になることがあるというお話でした。

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