今回は、「数字は正確に」というお話です。
ライティングを仕事としていると、さまざまな数字を扱うことになります。たとえば、転職についての記事であれば、「一般的な給与の水準はいくらか」「就職から転職までの平均的な期間はどのくらいか」といった数字について書かなければならない場面があるのです。
当然、そうした数字のすべてをあらかじめ把握しておくのは不可能です。記事の内容に応じて、実際の数字を調べなければなりません。しかし、数字を取り扱うときには、通常の文章を書く際よりもずっと慎重になる必要があります。
何らかの数字や数値を調べる場合、多くのケースでインターネットが使用されるでしょう。現代において、これほど優れた調査用のツールはありません。ただ、インターネット上の数字には誤りや誇張、嘘が紛れていることを理解しておくべきです。
分かりやすい例で言えば、投資関係の記事は数字の取り扱いが非常に難しいでしょう。投資に関わる記事は、とても人気が高いジャンルであるため、コラムやブログが乱立しています。
そのなかで、何らかの数字を探そうとすると、同じものに関してまったく違う数字が使われている記事がいくつも表示されることもあります。悪意をもって他人を騙そうとするものがすべてとは言いませんが、データを読み間違えたり勘違いしたりしている記事は多いです。
もしそのなかの1つを正しい数字だと信じ、記事を書いてしまえば、その記事もまた誤りとなります。クライアントから請け負った仕事で、そのような誤った記事を書けば、ライターとしての信頼は大きく損なわれるでしょう。
そのため、個人のコラムやブログに書かれている数字について、安易に信用してはいけません。少なくとも、その数字の出典について明示されていないものは、記事に使用することを控えてください。
そして、数字が必要な場合には、信頼できる出典元から引用するように心がけましょう。大抵の数値データには、信頼できる機関が発表しているものがあるため、そちらを利用するのです。
もっとも分かりやすいのは政府系の機関が発表しているデータです。金融庁のホームページなら、金融や経済に関する指標が多く掲載されています。税に関するデータは国税庁を当たるべきです。
政府系以外では、いわゆるシンクタンクが発表するデータも一定の信頼性があります。日本国内では、「総合研究所(総研)」と呼ばれる機関に該当します。ただし、総合研究所を名乗っていれば、すべてが信頼できるというわけではありません。
名前だけは総合研究所であっても、個人が運営しているものもあります。信頼性があるのは、金融機関などの大手企業が後ろ盾になっているような総合研究所ですから注意しましょう。
数字の扱いというのは、ライティングにおいてとても重要です。なぜなら、間違いに関して一切の言い訳がきかないからです。数字に誤りがあれば、それは完全な「ミス」になります。「うっかりしていた」では済まされません。
だからこそ、「正しい数字・数値を見つけられるのはどこか」といった情報を大切にしましょう。もちろん、どれだけ信頼性があるデータであっても、絶対に間違いがないとは言い切れません。
それでも、「ここ以上に正確なデータはないだろう」と思えるところから、データを探すことが大切です。
Webライター・方山敏彦の右腕。左腕も勿論ありますw
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