結論を最初に書く! 長文を読ませるテクニック。

テクニック(右腕)

この記事では、ライティングに関わるテクニックについて解説していきたいと思います。

今回は、「最初に結論を書く」ことの大切さについてです。

コラムなどの仕事をしていると、最初に「導入文」を求められることが少なくありません。導入文とは、その先の文章を読んでもらえるようにするための文章です。導入文では、「これから先の文章は、○○といった内容です」と提示し、読者が知りたい内容があることを強調します。

例文A

日本人の多くが加入している生命保険ですが、「どういう保険がいいのか」をきちんと理解している人は意外と多くありません。人によって、仕事や生活スタイルが違いますから、それぞれに合った保険があるのです。今回は、さまざまな保険の種類について解説するとともに、どの保険がどんな人に向いているのかを紹介します。

例文Aは、保険に関する文章の導入になります。「多くの人が保険に入っている」から、「でも保険の選び方は難しい」と続け、「保険の種類と選び方を教える」と締めています。この導入文があることで、その先に書かれている内容が、読者の求めているものかどうかを判断してもらえるのです。

導入文は、そこから続く文章の骨子を解説するものだといえます。「これから○○という内容の話をしますから、興味がある方は読んでみてください」と促すわけです。つまり、「最初に文章の概要(結論)を説明する」ことで、読者に読み進めてもらうように誘導する手法なのです。

ライティングにおいて、最初の数行で読者の心を掴めないと、それ以降の文章はまったく読んでもらえません。特にWebライティングでは、こうした傾向が顕著です。そのため、最初に「こういう内容で話します」と明確に伝える必要があるのです。

「結論を先に書く」という手法は、一本の記事やコラムという単位だけではなく、小見出しの始め、段落の頭に結論を持ってくるといった形でも利用できます。

例文B「仮想通貨とは」

1:通貨にはさまざまな形がある。多くの国が発行する通貨を基本としつつ、最近では実体を持たないデジタル通貨も普及してきた。日本では、JRなどの交通機関が発行するICカードが有名だろう。そんななかで、新しい原理で管理されるデジタル通貨として注目を集めているものがある。それが「仮想通貨」だ。

2:「仮想通貨」とは、新しい原理で管理されるデジタル通貨だ。日本では、公共機関が発行するICカードなどの普及で浸透しつつあるデジタル通貨だが、仮想通貨はそれらとはまるで異なるシステムを持っている。そのため、多くの企業や各国政府なども巻き込み、注目を集めつつあるのだ。

2本の例文はどちらもほぼ同じ内容です。「ICカードのようなデジタル通貨が普及している」「新しいデジタル通貨として仮想通貨が登場した」「仮想通貨に注目が集まっている」という3つの主旨で構成されています。

例文B-1は、いわゆる「起承転結」を意識した文章です。「起」として通貨に関する話を持ち出し、「承」としてデジタル通貨の普及を語り、「転」として新機軸のデジタル通貨の登場を示唆しています。そして、「結」としてそれが仮想通貨であると締めているのです。文章としては、これで何も間違いはありません。しかし、おそらく多くの読者は最初の1~2行で読むのをやめてしまいます。この書き方では、「いつ本題に入るのか」がわからないからです。

そこで、例文B-2では、いきなり仮想通貨の解説から入ります。B-1でいう「転」の部分から話を始めるのです。こうすることで、最初から最後まで仮想通貨に関する話でまとまります。

「起承転結」のような結論を最後に持ってくる書き方が悪いというわけではありません。しかし、結論を最後に置く書き方をするなら、よほど上手に読み手を誘導する必要があります。そのためには、相当の技量がなければいけません。

「結論が最後」の悪い例の典型は、子どもの書く日記です。

例文C

今日は休みだったけど、早起きしました。お母さんに起こされる前にきちんと起きられたので、お父さんにほめられました。うれしかったです。すぐに着がえて、朝ご飯を食べました。今日はお父さんとお母さんが遊園地に連れていってくれるので、ワクワクしていました。遊園地はとても楽しかったです。遊園地で、クラスメイトのたけし君と会いました。同じ日に同じ遊園地にいるとは思わなかったので、とても驚きました。

例文Cの趣旨は、「遊園地に遊びにいったら偶然クラスメイトと会って驚いた」というものです。しかし、起こった出来事を思い出しながら日記を書いているため、朝の出来事などの余計な内容がどんどん入ってきます。そのため、全体として退屈な文章になっているのです。

結論を最後にする文章というのは、このような状況が往々に起こります。あらかじめしっかりとしたプロットを立て、「起承転」のすべてが「結」につながるように組み立てつつ、「起承転」の段階で読者が興味を失わないように盛り上げなければいけません。 もし「小説」などの作品を書くなら、そうした構成を考えるのもよいでしょう。

しかし、ライティング案件や、日常的な連絡に用いる文章で、そんなことをしている暇はありません。コラムなら「何について話すか」を最初に書く、メールなら「何のための連絡なのか」を最初に書く……。それが、きちんと伝わる文章を書くことにつながります。

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