今回の記事でわかるポイント
・ 自分の「カテゴリ」を作ればいいのでは、という答え
Weライターのカタヤマです。今回も前回に引き続き、「セルフオーソリティ」について話を進めていきます。既存のジャンルにこだわり過ぎずに、自分の「カテゴリ」を作って展開していこうというのがポイントです。Webマーケティングの手法を取り入れつつ、新たな自分の領域を開拓していきましょう。
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自分の「カテゴリ」を作ればいいのでは、という答え
※これはあくまで、Webライターとして専業化したい人向けの記事です。あしからず。
どんなビジネスであれ、「自分を売り込んでいくこと」で商売が成り立つところがあります。自分を売り込まずに商売をするということは、即ちいつまで経っても“下請け体質”から脱却できないことになるでしょう。
「ライターは依頼されて原稿を書くんだから、下請け体質でもいいじゃないか?」というご意見もあります。しかし、そうした状況をあと何年続けていくのでしょうか。どれほど大きな案件を受けていたとしても、取引停止となれば早々に危機に瀕してしまうものです。
かと言って、付け焼刃のブランディング化を図っても、単に「扱いづらい、面倒な人」にしかなりません。需要のあるジャンルにコバンザメのようにくっついて、仕事を受けるのも1つの方法でしょう。
たとえば、美容整形の記事しかり、クレジットカードの記事しかり、パーソナルトレーニングの記事しかり。
しかし、ブームというものはいずれ去るものです。早ければ1年と持たず、長くても5年続けば良いほうです。ただ、5年も同じジャンルで書き続けるのは、それはそれで結構な努力も必要になります。なぜなら、5年も経てば原稿に求められるものも、かなり変わってくるからです。
とは言っても、今のメインの案件をいきなりは切れない。たしかに、その気持ちはよくわかります。しかし、それがあなたの生活のためであろうが、クライアントから気に入られていようが、業界自体が下火になれば真っ先に切り捨てられるのはライターでもあるのです。
各企業の収益が悪化すれば、広告費は削られます。広告や宣伝の予算が減らされる中で、新たな案件を獲得しようとするのは難儀なものです。
「じゃあ、そのとき儲かっている業界から案件をもらえばいいんじゃね?」、そういうご意見もあるでしょう。けれども、そのサイクルを半永久的に続けられるでしょうか。30・40・50・60、人間は必ず歳をとります。
残念ながら、私には新たなジャンルを創設するほどの力は今のところありません。大企業でさえ、なかなか難しいところでしょう。しかし、新たなカテゴリを作ることはできます。ようは、最初から自分の「触れ込み(前宣伝)」を作っておくことです。これなら、1人でもできます。
先の芸人の例で言えば、漫才師・コント職人として売り込むのではなく、闇営業で問題となった某番組の「〇〇芸人」といったカテゴライズに近いと言えます。
「コインランドリーにひたすら詳しいライター」「トイレ掃除については右に出るものがいないライター」「白米に合うおかずを探すのにやたらと情熱を燃やすライター」といった具合です。
ここで大事なポイントは、それ以外の記事を書かないということです。コインランドリーのことについて書く場合は、関連するからといって家での洗濯やクリーニングについて書くべきではありません。他は一切捨て去ります。
トイレ掃除ならば、おフロ掃除やキッチンの掃除について書いてはいけません。白米であれば、みそ汁をメインとした記事を書いてはいけません。
Webライターとしてのオーソリティ化とは、権威性を持たせたいカテゴリ以外、他一切を切り捨てることです。他のカテゴリも書けるからといって、手を出してはいけません。他のものは、他のライターさんに譲ればよいのです。
これは、得意ジャンルを広げるという考えとは真逆のものであり、専門性を突き抜けて、もはや「その道の権威」と呼ばれるレベルに足を踏み入れていくことでもあります。
オーソリティ化は、ランチェスター戦略によく例えられるものですが、特定のカテゴリで1位を取りに行くという意味ではそうなのでしょう。ただ、店舗を構えた商売とは異なり、Webライターはどこに住んでいようが全国規模で戦わなければなりません。だからこそ、かなり尖ったカテゴリ化が必要なのです。
当然ながら、単に自分をカテゴライズするだけで依頼がくるわけではありません。そのカテゴリ自体に一定数のニーズがなければ、そもそも成り立たないものです。
ネットショップやブログサイトを運営している方なら一度は使われていると思いますが、Googleが提供している「キーワードプランナー」があります。SEOキーワードを入力すれば検索ボリュームの概数がわかるため、ニーズを探るうえでは重宝します。複合キーワードでの検索・複数検索も可能であり、個人レベルでは無料で使える範囲で充分です。
また、「関連キーワード取得ツール」を使えば、Googleサジェスト・教えて!goo・Yahoo!知恵袋などにあがっている質問を一覧で確認することができます。使い方はいたって簡単で、気になるSEOキーワードを入力するだけです。
したがって、「キーワードプランナー」と「関連キーワード取得ツール」を併用すれば、どのようなSEOキーワードに検索ニーズがあり、競合性が高いのか低いのかがわかります。
ライターとして頭一つ抜き出るためには、ただひたすら記事を書き続けるだけでなく、むしろ「データ解析」に多くの時間を割くべきでもあるのです。クライアントが発注したいSEOキーワードを盛り込んだ記事を事前に自分で把握できておけば、何を頼らずとも自ら案件をとってこれます。いわば、「無限・営業法」とも呼べるものです。
各種ツールの使い方は検索すれば、山ほど記事が出てきますので、そちらを参考にしてみてください。また、データの分析についてはGoogleアナリティクスに任せておけばいいでしょう。個人レベルで行う「定量分析」はこの程度で良いと思います。
定性分析(アンケート・インタビュー等)についても、SNS等をうまく活用すれば、ある程度は実行可能です。
大事なポイントは、データを分析するのに終始することではなく、「データを解析すること」にあります。ようは、数字だけでは見えてこない部分に対して、仮説を立てテストを行い、解析をするサイクルが重要なのです。
ここまでくると、Webマーケティングの領域なのですが、そもそも私たちは「Webライター」なのです。「Webに関するスキル」と「ライティングスキル」の両方が武器でもあります。Webライティングにおける良い記事とは、「読まれる記事」に他なりません。文章技術は土台としては必要であるものの、それだけで仕事につながるものでもないでしょう。
「SEOキーワード、ニーズ?それは、クライアントが指示してくれるから、別に記事を書いていればいいじゃね」、本当にそうでしょうか。
クライアントが必ずしも、SEO対策やWebマーケティングに詳しいとはかぎりません。むしろ、それを専門で行う会社の数を考えれば、あなたのクライアントはWebに詳しいのでしょうか。
Webライター個人が、Webに関するスキルを身につけておくことは何をするにしても効果絶大です。まず、案件がとれます。正確に言えば、記事を発注したいと考えているクライアントのあたりをつけやすくなります。
単にクラウドソーシングサービスから流れてくる案件をひたすらこなすだけではなく、自分で営業すべきです。誤解のないように記しておきますが、これはあくまでも独立・専業化を考えている方は、ということです。育児や介護で営業まで手が回らない、もしくは学生さんなどがクラウドソーシングサービスを利用するメリットは大です。
しかし、今後Webライター1本でやっていきたい、ブログサイトの運営やアフィリエイト、ドロップシッピングに挑戦してみたいという人は、やはり自ら営業を行い、提案し、代金をしっかりと回収して小さいながらも自分のビジネスを成立させるべきです。
ビジネススキルはビジネスを行うことでしか磨かれません。Webライターは個人事業主です。厳しい言い方をすれば、ビジネス的な観点を持たずに明日を生き抜くのは無理というものでしょう。誰かが何とかしてくれるといった幻想は、そこにはないのです。
閑話休題。
いずれにしても、自ら営業を行わなければ、あなたのことは誰も知りません。しかし、安易なセルフブランディングは、営業的に大変非効率でもあります。効率的に自分の市場価値を高めていくために、緻密にデータ解析を行い、自らカテゴライズ化し、他を捨て、オーソリティ化を目指してみるのも悪くありません。
ただし、これは危険な方法でもあるので、万人におすすめできる方法でもないと言えます。なぜなら、特定のカテゴリでオーソリティ化するためには、短期的な収入の急減は避けられないからです。しかし、今Webライターとしてギリギリの範囲で食いつないでいくことに何の意味があるのでしょうか。それは、あなたの明日につながっているのでしょうか。
テレビをつければ、クラウドソーシングサービスのCMを見かける時代になりました。昔から、テレビで出るタイミングでは、もはやオワコン――と言われるのも世の常です。
Webライターとしての進路、考えるべき時期に来ていると思います。
つづく。
ライター歴15年。経営者(オーズLLC https://othllc.com/)とYoutuberも兼ねている。
著書『ザ・ウェブライティング ウェブライターとして生き残るための実践サバイバル術 』(https://www.amazon.co.jp/dp/B07BF25T8Y/)。
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