専門用語だけではダメ!解説をつける大切さ

テクニック(右腕)

今回は、「専門用語」に関するお話です。

ライティングの仕事は、一定の専門性を求められるものがほとんどです。読者に対して、何らかの情報を提供するような記事を書くわけですから、専門性は必須と言ってもよいでしょう。

しかし、専門性が必要だからと言って、やたらと「専門用語」ばかりを使う記事は問題があります。専門用語を多数利用すると、一見してしっかりした記事に見えるものです。ところが、専門用語を多用する記事には大きな弊害もあります。それは、「専門用語を知らない人には記事の内容がまったくわからなくなる」というものです。

例文A

仮想通貨とは、ブロックチェーン技術を利用したデジタル通貨です。ブロックチェーン技術を用いることで、非中央集権的な仕組みよる管理が可能になっています。代表的な仮想通貨には「ビットコイン」がありますが、それ以外にもさまざまな仮想通貨が生まれています。ただし、なかには「草コイン」と呼ばれる信頼性のないものもあるため、購入する際には注意が必要です。

例文Aは仮想通貨に関する文章ですが、基礎的な知識がないとさっぱりわからないでしょう。仮想通貨を知らない人では、「ブロックチェーンってなに?」「非中央集権ってどういうこと?」「草コインが危ない?」といった疑問ばかりが浮かんでしまいます。

仮想通貨に関する文章ですから、当然読者は仮想通貨について知識のない人です。そういう人が読んでもわからない内容では、ライティングとしては不合格だと言えます。そこで、以下のように文を追加します。

例文B

仮想通貨とは、ブロックチェーン技術を利用したデジタル通貨です。ブロックチェーン技術は、ネットに接続している不特定多数のコンピュータによって、情報を管理する技術です。これにより、特定の管理者がいなくてもデータの信頼性を保つことができます。管理者がいないため、特定の人物や組織によって改変される心配のない非中央集権的な仕組みで管理可能です。代表的な仮想通貨には「ビットコイン」がありますが、それ以外にもさまざまな仮想通貨が生まれています。ただし、なかには誕生したばかりで将来性が不透明な「草コイン」と呼ばれるものもあります。そのため、購入する場合には注意が必要です。

例文Bでは、「ブロックチェーン」「非中央集権」「草コイン」に関する簡単な説明を加えました。これによって、この文章だけでもある程度、読者が疑問に感じるだろうポイントを減らすことができます。もちろん、この文章だけで仮想通貨のすべてがわかるわけではありません。これは仮想通貨に限らず、どんなものに関する文章でも同じです。1つの文章で、対象となるものを完全に理解させることは不可能です。

しかし、「専門用語」について一切の説明をしないまま文章を書くのは、読者に理解を促そうという意識が不足しています。「この言葉の意味を知らないと、その先の文の意味がわからないだろう」と思われる言葉には、簡単なものであっても何らかの解説をつけましょう。

ただし、これは文章構成全体の流れにもよります。たとえば、例文Aの前に、「ブロックチェーン」「非中央集権」「草コイン」などに関する解説があった場合は、わざわざ解説を加える必要はありません。

また、コラムなどの文章の場合は1つのコラム記事だけではなく、一連の記事全体で解説の必要性が異なります。連載記事であれば、以前の記事で詳しい解説を書いた用語については、解説を省くこともあるでしょう。

それでも、専門用語を解説抜きで使わないことが基本です。そのうえで、記事の構成や関連記事との兼ね合いを見て、解説を簡易なもので済ませたり省いたりする判断を行うべきです。

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