文は締め方が大切。断定か曖昧か。

テクニック(右腕)

この記事では、ライティングに関わるテクニックについて解説していきたいと思います。

今回は、「文末」に関するお話です。

文において、文末の持つ働きはとても大きなものがあります。なかでも、「断定かどうか」には注意を払う必要があります。

文における断定とは、「だ」「である」「です」「ます」などの形で言い切ってしまう書き方です。逆に、断定ではない書き方は「だろう」「思われる」「いわれています」「でしょう」といった推測や伝聞を含んだ言い回しです。

どちらが良いという話ではありませんが、ライティングにおいては原則として断定で書くことが求められます。ライティングは、読者に対して何らかの情報(商品やサービスの宣伝も含めて)を伝えるものです。ところが、伝えられる情報が推測や伝聞ばかりでは、誰も信用してはくれません。

例文A

日本は少子高齢化が深刻だといわれている。この先、働き手はどんどん減っていくだろう。そのため、労働力不足の解消が課題になると思われる。民間企業だけではなく、政府も積極的に対策を打つようになるはずだ。機械化やAIの導入など、今後の労働環境に適応できる人材が求められるようになるといえるだろう。

例文Aには、断定表現が1つもありません。「いわれている」「だろう」「はずだ」といった文末が連続することで、文章全体の内容がハッキリしなくなってしまいます。これでは読者から、「単なる想像では?」と疑われてしまうだけです。それ以上に大きな問題は、「この文章は何を訴えたいのか」がわからなくなる点です。

ライティング案件は、クライアントから依頼を受けて文章を書きます。つまり、「クライアントには伝えたいことはあるが、伝え方がわからない」からライターに依頼を出すのです。それなのに、仕上がった内容が伝えたいことがハッキリしないものでは、とても「仕事をした」とは言えません。

これは何も、「仕事としての文章」だけに限りません。どんな文章であっても、「何を言いたいのか分からない文章」になることだけは何としても避けるべきです。だからこそ、「文末は原則として断定で書く」ことを心がけましょう。

では、曖昧な文末がまったく役に立たないのかというと、それも違います。「いえます」「はずだ」「でしょう」「だろう」といった言い回しが効果的な場面もあるのです。

まずは、実際に憶測や推測が含まれている内容で、断定することを避ける必要があるケースです。

例文B

1:今後100年ほどで、地球の石油は枯渇するといわれている。

2:彼は次のオリンピックで、大活躍をするでしょう。

3:これだけ派手な演出の映画なら、製作費も莫大なはずだ。

例文B-1とB-2は、未来のことについて言及しています。これから訪れる将来のことは、誰にも断定できません。よほどしっかりとした根拠やデータがある場合を除いて、未来について話をする場合は「いわれている」「でしょう」といった表現が必要です。

例文B-3は、未来の話ではありません。しかし、「派手な演出の映画」と「莫大な製作費」を結びつけることは、自然な話です。推測で締める話は、「しっかりとした根拠」と「不自然さのない構成」を用いて、読者に「たしかにそうかもしれない」と思える内容にする必要があります。ただし、B-3のような書き方をする前に、「実際の制作費が公表されていないか」を調べることは欠かせません。

もし、製作費が公表されているなら、それをもとに書けばよいだけです。 「だろう」「はずだ」「でしょう」「いえます」のような表現も、活用する場面はたしかにあります。しかし、原則はやはり「断定」で書くことです。そのうえで、必要な場合や効果的な場面で活用していくようにしましょう。

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